標準レンズの特徴と得意な撮影ジャンル
2019/5/21
35mmフルサイズ換算の焦点距離が50mm前後になる単焦点レンズを標準レンズと呼びます。APS-Cサイズのイメージセンサーを採用するカメラでは、実焦点距離30mm~35mmがこのタイプに該当します。フォーサーズセンサー採用のカメラでは25mmレンズが標準レンズです。
標準レンズとは
なぜ35mm換算で50mm前後となるレンズが、標準レンズと呼ばれるようになったかには諸説あります。
1つは、50mmレンズの画角が肉眼で普通にものを見る時の視野に近いとする説。2つめとして、35mmフィルム一コマの対角線の長さと近い焦点距離を持つレンズだから、と言う説。(35mmフィルムの対角線長は約43mm)3つめとしては、レンズの特性として広角レンズ的でも望遠レンズ的でもない特性を持つから、という説もあります。
どの説も決定的と言えるものではなく、なぜ標準レンズが「標準」なのかは、今でも曖昧な部分を残しています。
標準レンズの経緯
かつては標準レンズが、今のキットレンズの標準ズームレンズの役割を担っていた時期がありました。全ての一眼レフカメラとセット販売されていたレンズは、標準レンズだったのです。
ですが一眼レフカメラがオートフォーカス化したあたりから状況が変わりました。
開放F値の暗いズームレンズであってもピント合わせが問題なく行えるようになり、通常の条件下では高速かつ正確に動作するオートフォーカス機能のおかげで、ズームレンズ本来の機動性がやっと真価を発揮するようなります。これによって、便利性では劣る標準レンズも含めた単焦点レンズは、徐々にシェアを失っていきました。
カメラ本体がデジタルカメラ化したあともしばらくは状況は変わらず、単焦点レンズは一部を除きレンズの更新も行なわれないまま、古い設計のレンズがそのまま販売される状況が続きました。
ここ数年、そういった単焦点レンズに関する膠着していた状況は変わりつつあります。単焦点レンズでしか出来ないことが見直され、売り上げ面でも一時の低迷をほぼ完全に抜け出したと言ってもいいかもしれません。
その流れに乗る形で、20mm~35mmのスタンダードな広角レンズや標準レンズも、再設計が行なわれたずっと高性能な新製品が次々と登場しています。特に超がつくレベルで高性能な標準レンズが何本も登場していて、標準レンズ市場はカメラメーカーもレンズメーカーをも巻き込んでの、新しいレンズの性能を競う最先端の戦場の様相も呈し始めています。
標準レンズは交換レンズの中で最も明るいレンズの一つ
標準レンズの特徴の一つとして、開放F値が非常に明るいレンズが多いことが上げられます。
広角レンズ、望遠レンズにも明るいレンズは存在しますが、そういったレンズは開放F値を明るくするための特別な設計が必要で、そういったタイプのレンズはメーカーの威信をかけた、ある種の「フラッグシップ」レンズとなることがほとんどです。
これに対して標準レンズでは、それほど設計上で頑張ることなく非常に明るい開放F値を実現しやすく、その点が価格の面にも反映され、多くの人が入手しやすい価格で明るいレンズが提供されています。
開放F値が明るいと言うことは、ボケを使える幅も大きくなるということですので、スマートフォンのぼかせないカメラからステップアップした人たちには、訴求力の強いレンズとなっているともいえるでしょう。
新時代の標準レンズ
従来の標準レンズは「ガウス型」、より正確には「ダブルガウス型」または「変形ダブルガウス型」と呼ばれるレンズ設計が採用されていました。これは前から凸凹の順番で並ぶ(本来の)ガウス型のレンズを、絞りを挟んで対称に配置したタイプのレンズです。
光学性能改善のために、凹レンズ部分を複数のレンズによる貼り合わせ構成とした、「凸凸凹 絞り 凹凸凸」配置の4群6枚構成のレンズが標準的とされています。近年はさらに光学性能を改善した変形ダブルガウス型が標準となっていました。
変形ダブルガウス型のレンズでは、各種収差が良好に補正されて比較的簡単に明るく高画質なレンズが作れること、バックフォーカスを大きく取る設計も比較的容易に行えるため一眼レフとの相性が良く、標準レンズや中望遠レンズに数多く使われてきた経緯があります。
ただ、最近の超高画質を実現する標準レンズでは、このダブルガウス型とは全く異なる設計を採用するレンズが増えています。また、バックフォーカスの点で制約の非常に少ないミラーレス一眼などでは、そもそもダブルガウス型にこだわる必要がなかったとも言えます。
ダブルガウス型の光学上の弱点としては、光学収差のうちのコマ収差が残りやすいことがあります(画面端の点光源が三角形に滲んで写るなど)。そういった従来のレンズ形式での弱点を、今の高度な光学設計技術により克服したのが今の高性能標準レンズです。
このような標準レンズで絶対性能を競うかのような流れを最初に作ったのは、先代のシグマの50mm/F1.4レンズの「50mm F1.4 EX DG HSM」でしょう。未だに独特のにじみを伴うボケにファンが多いレンズです。
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