広角レンズ~その特徴と得意な撮影ジャンル~
2019/5/21
広角レンズは名前の通り、より広い範囲を一度に画面内にとらえることが出来るレンズのことを言います。概ね対角線画角が65度程度を超えるレンズを広角レンズと呼びます。
広角レンズは、その他のレンズに比べて焦点距離が短くなり、他のレンズにはない描写上の特徴が生まれます。
広角レンズならではの特徴的な描写をうまく使うが、このレンズの使いこなしにつながっていきます。今回は広角レンズの特徴や、得意な撮影シーンの説明を行います。
広角レンズの特徴
広角レンズは、より広い範囲を一枚の写真に写し込むことが出来ます。また、焦点距離は他のレンズに比べて短くなっています。
これらによって発生する描写上の特徴を少し詳しく見ていきましょう。
遠近感の強調
広角レンズは、その他のレンズに比べて、画面内の物体同士の遠近感が強調される描写になります。近いものはより近く感じられ、遠くにあるものは実際よりも遠くにあるように写ります。
遠近感の強調による物体の変形
建物を下から仰ぎ見るような撮影を行うと、建物の上の方は強調された遠近感によって建物の下側よりもかなり小さく写ります。このため、建物の上側が大きくすぼまったような写り方をします。
このような写真は広角感を表現しやすい題材になりますが、被写体や撮影の仕方によってはそれが不要に感じられるケースも出てきます。
被写界深度が深くなる
これは広角レンズだからということではなく、焦点距離が短くなることが原因の現象ですが、一般的に広角レンズは焦点距離がほかのレンズよりも短いレンズであるため、被写界深度が深いと感じることが多くなると思います。
広角レンズでは、標準レンズや望遠レンズなどよりも被写界深度の深さを利用した描写、例えばパンフォーカスの写真などの撮影が行いやすくなります。
一眼レフ用とレンジファインダー用とで、レンズの構成が異なっていた
一眼レフにはミラーボックスが存在するため、レンジファインダーカメラよりもバックフォーカスをかなり大きく取る必要があります。このため一眼レフ用の広角レンズでは、「対象型」と呼ばれるタイプのレンズ構成で広角レンズを作ることは不可能です。こういった事情があるため一眼レフの広角レンズには、「レトロフォーカス」(逆望遠)と呼ばれるタイプのレンズ形式が用いられてきました。
かつてはレトロフォーカスタイプの広角レンズは描写の面で対象型に劣ると考えられてきたため、イメージの悪さを払拭できずにいました。。
ですが最近の設計技術の向上により、レトロフォーカスタイプの広角レンズでも非常に描写の優れたレンズが登場し、以前のネガティブイメージはかなり薄れてきています。
また、レトロフォーカスタイプの広角レンズは、デジタルカメラとの相性はむしろ良いとされています。イメージセンサーには出来るだけ光が垂直に入射することが求められますので(≒テレセントリック性)、そのようなレンズ設計を行うにはレトロフォーカスタイプの方が向いているからです。。
このため最近のレンズでは、バックフォーカスの短いミラーレス一眼用の広角レンズでも、レトロフォーカスタイプを採用するレンズもあります。
広角レンズが得意な撮影シーン
広角レンズが得意とする写真の構成は、画角の広さや遠近感の強調、それに伴うパースの強さを活かすような画面構成です。。
風景写真
広大な風景を一枚の写真にまとめたいケースは、まさに広角レンズの独壇場と言って良いでしょう。
風景の一部を「切り取る」タイプの風景写真は標準レンズや望遠レンズで撮影可能ですが、広い範囲を一枚の写真にまとめるならば、広角レンズでしかその目的は果たせません。
このような撮影ではより広大な範囲を写し込める、超広角レンズも大変重宝します。
また、広角レンズの遠近感の強調を利用すると、さほど奥行きのない場所の風景でも非常に広大な場所のように写し取ることが可能です。
さらに、遠くにある構図上邪魔なオブジェクトも写り込み具合が小さくなりますので、うまく配置することで構図上何も問題にならない程度の写りにしてしまうことが出来る場合もあります。
建築写真
広角レンズによる独特のパースのかかり方を利用すると、建築物を非常にユニークな画面構成で撮影することが出来ます。
使いすぎると嫌みになりかねない高い建物の上側が小さくすぼまる写り方も、それだけで画面を非現実的な、面白い雰囲気に仕上げることが出来るスパイスになります。
大胆に主被写体に迫る構図
思い切って主となる被写体に迫ると広角レンズの描写の特徴を活かした写真が撮影できます。
遠近感の強調、被写界深度の深さにより、主となる被写体を画面内に大きくとらえつつ、背景に何があるのかある程度判別可能な写真の撮影も可能になるのです。
広角レンズは他のレンズよりも撮影者が足で稼ぐ必要のあるレンズ
広角レンズの独特の描写の一つである強力なパースのかかり具合は、撮影者が被写体との距離を変えながら撮影を行わないとその違いが表れてきません。
広角レンズならではの特徴を活かそうと思ったら、その他のレンズを使用する際よりももっと「足を使って撮影する」必要のあるレンズといえるでしょう。。
被写体に寄ったり引いたりしながらファインダー像を見ていれば、それだけでも大きなパースの変化が楽しめるはずです。
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