プロ直伝!ホワイトバランスを味方に、イメージどおりの写真を撮ろう!
2019/5/21
プロカメラマンの川窪 葉子さんに記事をご寄稿頂きました!
川窪さんの作品が見られるHPはこちら↓
今回はホワイトバランスについてのお話を執筆していただきました。
私もカメラを初めて少し経ったころ、このホワイトバランスの設定に苦労した経験があります。
なかなか扱いの難しいこのホワイトバランス。
記事ではプロならではの詳しい説明をしてくださっています。
皆さんの更なるカメラライフの向上に、ぜひご一読ください。
以下本文です。
視覚情報で色が占める割合は80~90%
私たちが外部からの情報を得るとき、五感(視覚、聴覚、嗅覚、触覚、味覚)が働いています。そのなかでも視覚からの情報は80%と言われています。
そして、その視覚の情報のなかで80~90%を占めているのが「色」と言われています。ということは外部の情報の印象を決めるうえで、色がとても重要な役割を担っていることがわかります。
一眼レフカメラやミラーレスカメラ、コンパクトデジタルカメラなどのほとんどのカメラには、ホワイトバランス(WB)を設定する機能が付いています。
その機能を上手に使いこなすことで、写真の印象の大半がガラリと変わると言っても過言ではありません。
ホワイトバランスの役割とは
ホワイトバランスとは、その名のとおり白のバランスをとるように白を白に写すための機能です。
人はどんな状況下でも、白は白と認識できますが、カメラはそれができません。私たちがホワイトバランス機能を利用して、白を白として写すように設定するわけです。
室内のレストランなど暖かな照明で照らされた場所で料理をそのまま撮影すると、すべて赤みがかって見えて美味しそうに見えないということはありませんか? カメラが本来の色を認識せずそのままを写しているからです。
まず同じ被写体で色温度を変えた場合、どれだけ印象が変わるかを見てみましょう。
FUJIFILM X-T10 + FUJINON XF16-55mmF2.8 / ISO-200 / 露出補正+0.3 / 絞りF5.4 / 露出時間1/60秒 / フィルムシュミレーション アスティア
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ホワイトバランスは、左からAUTO、電球、曇りに設定して撮影しています。
いかがですか?まったく違った雰囲気に仕上がっていますね。
AUTOの場合、カメラが認識したとおりそのままを写しています。
日陰や蛍光灯で撮影すると、暖かみが増して桜の花など花の彩りが目立つ印象になります。
電球の場合、少し前に若い女性の間で流行したシアンがかった印象に仕上がりました。
色の性質、関係性を上手に利用しよう
視覚から得る情報のうち、80~90%を占める色。その色には彩度、明度、色相の3つの要素があります。
彩度:色の鮮やかさ。彩度が高いと色鮮やかになり力強く、低いとくすんだシックな印象に
明度:色の明るさ。明度が上がると爽やか、下がると重みのある落ち着いた印象に
色相:色味の違い。主な色相は赤紫青緑黄。隣り合う色の同系色は馴染んだ落ち着いた印象になり、赤と緑のように180度反対の補色は、互いが反発し合うため目立ったインパクトのある印象に
FUJIFILM X-A1 + FUJINON XC50-230mmF5.6-6.7OIS / ISO-800 / 露出補正+0.3 / 絞りF6.4 / 露出時間1/55秒 / フィルムシュミレーション ヴィヴィッド / WB AUTO
赤いもみじを際立たせるため、バックを緑に補色を利用して撮影。
赤や黄色など暖色系を撮影するときは、彩度を上げると色飽和で階調が失われディテールがつぶれてしまうことがあるので、彩度・明度の設定に注意が必要です。
色を操ってイメージどおりの写真を
光には光源によってさまざまな色味があり、この色味を色温度と言います。一般的には色温度をケルビン(K)という数値単位で表記されます。
色温度(K)が低くなると赤みが増して、高くなると青みが増します。
カメラはこの光源の色温度を補正するために、色温度(K)を高く設定すると赤みが、低くすると青みが強まります。
ホワイトバランスWBは、白を白と見せるための色のフィルターです。
この色フィルターを利用すれば、白を白に写すだけではなく、自分のイメージとおりに表現ができるとも言えます。
夜景の場合、どう印象が変わるか見てみましょう。
FUJIFILM X-T10 + FUJINON XF16-55mmF2.8 / ISO-200 / 露出補正±0 / 絞りF20 / 露出時間30秒 / フィルムシュミレーション ヴィヴィッド
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ホワイトバランスは、左からAUTO、電球、曇りに設定して撮影しています。
実際見たときの夜空はグレーや黒ですが、このように設定を変えるだけで印象が違うものになります。
夜景で占めるのは、暗い部分の色。その色を青味がかかる電球に設定すると、空が青くなったことで彩りが加わりクールな印象になります。
また、ホワイトバランスのシフトでより自分のイメージした色に近づけることができます。
上の夜景の例で、電球では青すぎると感じたときはAUTOで青緑寄りに設定して夜空を青く設定することもできます。
FUJIFILM X-T10 + FUJINON XC16-50mmF4.5-6.7OIS / ISO-200 / 露出補正±0 /絞りF6.4 / 露出時間1/420秒 / フィルムシュミレーション ヴィヴィッド / WB 曇り
オレンジ色を強調するために、曇り設定で撮影。ほかの色を一切排除し、オレンジ色と黒の2色でシンプルに仕上げて、夕暮れのなかを歩く親子のシルエットを際立たせました。
色の好みは個人によってさまざま。どれが正解というのもありません。また自分に見えているものが、必ずしもほかの人にも同じように見えているとは限りません。
ということは場面に応じて、自分が美しいと感じる色に設定することが一番。自分らしく思いどおりに表現できるのが、このホワイトバランスと言えます。
同じ被写体でホワイトバランスを変えながら撮影すると、自分のイメージした色に出会えます。
色を意識して、自分の色フィルターを活かして、より魅力的な撮影にぜひトライしてみてください。
<写真・文/川窪葉子>
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