今振り返るあの機種 第三回「SONY α7」
2018/12/9
最新機種ではない、いわゆる「型落ち」と呼ばれる製品には、最新機種にはない優れた点や独特の味わいがあるもの、コストパフォーマンスに優れているものがたくさんあります。このシリーズではそんな製品にスポットを当て、その魅力をお伝えしていきます。
現役!初代フルサイズミラーレス機一眼
ソニーのデジタル一眼カメラシリーズで最もスタンダードとされているのが、α7シリーズです。今回は2013年11月の発売以来、今もなお現行モデルとして販売されている「初代機」α7の魅力に迫っていきたいと思います。
フルサイズミラーレス一眼の草分け
ご存知α7は、ミラーレス一眼カメラでは世界初となる、35mmフルサイズセンサーを搭載したモデルとして今から5年前の2013年に発売されました。
有効約2430万画素の35mmフルサイズ Exmor CMOSイメージセンサーを搭載しながらも、バッテリーを含め、約470g以下というコンパクトかつ軽量なボディは「フルサイズは重くて大きくて、かさばる」という一般的なフルサイズ一眼カメラのイメージを根本から覆すものでした。
同じ2013年にCanonから世界最軽量を謳い発売されたEOS 6Dでさえ、バッテリーを含め760gの重量があったことを考えると、α7の登場はカメラ業界全体を見てもまさに革新であったと言えるでしょう。
傾向性と性能を高いレベルで両立
高い傾向性もさることながら、フルサイズ一眼カメラとして必要十分以上の機能を備えていたことも、α7がデジタル一眼レフを脅かすほどに「フルサイズミラーレスのすばらしさ」を世に知らしめた一因でしょう。
従来比で約3倍の高速処理性能を備えた「BIONZ X」と呼ばれる新画像処理エンジンを搭載したほか、「ディティールリプロダクション技術」による忠実かつナチュラルな描写、「回折低減処理」によって解像感を高めるなど、先進の技術が惜しみなく投入されました。
また、コントラスト検出方式AFによる高い合焦精度を誇るオートフォーカスに加え、新開発の「ファストインテリジェントAF」や「ファストハイブリッドAF」を搭載し、合焦速度や動体追従性を大幅に向上させるなど、「フルサイズミラーレスであること」のみに頼らない、カメラとしての完成度の高さが高く評価されています。
236万画素の高精細EVFは便利機能が盛りだくさん
エレクトリックビューファインダー=EVF最大のメリットは露出やISO感度などの各種設定を変更した際、ファインダー内で撮影前に結果が反映される点です。
光学ファインダーでの撮影では、当然試し撮りや、プレビュー機能を使い背面液晶による撮影画像の確認が必要になってきますよね。EVFでは、シャッターを切ると撮影した写真がファインダー内に表示されるので、極端に言えばファインダーから一切目を離すことなく思い通りの写真が撮影できます。
さらには、ピント面が彩色され最もピントのあっているポイントが分かるピーキング機能や、実際に見ている景色を拡大してピント面を詳細かつ正確に調整できるフォーカスアシストなど、撮影をより簡単で便利にしてくれる機能を多数備えています。
もちろん光学ファインダーにも光学ファインダーならではのメリットがあり、ユーザーの好き嫌いの分かれるポイントでもあるので、光学ファインダーに対してEVFが優れている、と言うわけではありませんが、EVFならではの数多くの機能は撮影をより快適で簡単なものにしてくれることでしょう。
有効2430万画素の描写力
最後に、肝心の描写について。有効2430万画素のフルサイズセンサーの強みを十分に生かしたシャープかつ流麗、先にご紹介した「ディティールリプロダクション技術」による忠実かつナチュラルな描写、そして「回折低減処理」による画像拡大にもしても堪えうる解像感はさすがです。
被写体の右上から当てた定常光による光と影の質感も上手く表現されていた点からも、正確かつ精細に満足のいく画作りをしてくれるカメラだな、という印象を受けました。
また、撮影時に用いてみたピーキング機能はピントの山をつかむ必要もない、といっても過言でないほど便利でした。
2018年11月現在、αシリーズはこの初代機α7から数えて、α7、α7R、α7S、α7II、α7RII、α7SII、α9、α7R III、α7IIIの10機種が発売されていますが、最新機種が次々と発表される中でも、α7がいまだに現行機種として販売され続けていることからも、α7のポテンシャルの高さが伺えますね。
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