イメージセンサーのサイズと画素数のおはなし
2016/3/19
デジタルカメラではイメージセンサーのサイズが大きいカメラの方が画質は良い、というイメージがあると思います。
実際に製品化されているカメラでは、コンパクトデジカメよりもAPS-Cサイズセンサー搭載のデジタルカメラ、さらにそれよりも35mmフルサイズのセンサーを採用したデジタルカメラの方が良い絵を作ってくれています。
このように実際にカメラが作る写真のアウトプットや、その他製品に対する様々なイメージ的なものも含め、メーカーでも大きなセンサーを搭載するカメラをより高画質なカメラのイメージで売り出しています。
デジタルカメラで撮影した写真の画質は画素数とそれぞれの画素の質のかけ算で決まる、といってもいい部分があります。このうち質の部分に関しては、実は単純にイメージセンサーが大きいことだけで決まる訳ではありません。
今回はイメージセンサーのサイズと画素数、そして画質にまつわるお話をまとめてみます。
絵の質の部分が依存する本当の条件
デジタルカメラで撮影した画像の質の部分が本当の意味で依存しているのは、実は単純なイメージセンサーのサイズそのものではありません。より正確に見ていくならば、画素一粒一粒のサイズ・面積になります。
イメージセンサーの原理をごくごく単純化すると、イメージセンサーとは微小なサイズの太陽電池を規則的に大量に並べたもの、ということになります。
画素の面積が大きくなれば光を受けることが出来る面積が広がり、発生させられる電気の量が大きくなります。そうするとランダムに発生するノイズと信号の強さの間に大きな差が出来るようになり、写真本来の信号が画像処理の中でかかるノイズリダクションなどの影響を受けにくくなります。
また、イメージセンサーから光を受けて生じた信号を読み出すまでは、発生した電力はイメージセンサーのそれぞれの画素の部分に蓄えられます。画素が大きくなると蓄えられる電気の量の最大値も大きくなり、強い光を受けてもため込まれた電気があふれにくくなります。この部分が明るい方向へのダイナミックレンジが広くなることに効いてきます。つまり、白飛びしにくい特性につながっています。
光を受ける面積が広くなることで弱い光にもきちんと反応できるようになり、暗い場所での撮影にも強くなります。こちらは高感度特性や、暗い側へのダイナミックレンジ、黒つぶれのしにくさにつながります。
つまり、イメージセンサーの画素一粒一粒が大きくなることには、写真の質に対していい影響を与えるファクターしか存在しないのです。ですので、画像の質の部分だけを考えた場合には、大きなイメージセンサーで画素数を欲張らないものが有利、と言うことになります。
画素1粒の面積は、概ね画素ピッチの2乗に比例します。
画素の面積がそのまま絵の質に跳ね返る訳ではありませんが、写真を作る上での「基礎体力」としては、画素ピッチが2倍あると4倍分のポテンシャルがある、とも考えられる訳です。
こちらの条件は、スマートフォンの2000万画素センサーのカメラで撮影した画像と、APS-Cセンサーサイズカメラの2000万画素センサーの出す画像、35mmフルサイズで2000万画素センサー採用のカメラの作る画像の画質を比べてみたらどう感じるか?そういったイメージをしてみると、意味が分かりやすいと思います。
トータルの画質は画素数と画像を構成するドットの質のかけ算
上の節とは逆のような見方になりますが、写真の画質はそれぞれの画素の質だけで決まるわけでもありません。ある程度以上は写真から解像力や解像感を感じられないと、その写真からトータルでの画質の良さを感じるのは難しくなります。
このためある程度以上の画素数/解像度を確保した上で、それぞれの画素の質を高めていく形になっていないと、出来上がった写真の総合的な画質を引き上げていくことは難しくなります。
今、製品化されているカメラに使われているイメージセンサーは、そのあたりのバランスをかなりじっくりと検討を加えた上での開発が行われているはずです。
例えばキヤノンのEOS 5Dsシリーズでは、35mmフルサイズセンサーで驚異的とも言える5000万画素分もの解像度を実現しました。一見無謀とも思える画素数に見えますが、このイメージセンサーは画素ピッチで見ると2000~2400万画素クラスのAPS-Cサイズセンサーと同レベルです。
各社の2000万画素クラスのAPS-Cサイズセンサー搭載のデジタルカメラは、よほどの高感度でないかぎり十分以上の画質を実現できていることは皆さんご存知だと思います。
EOS 5Dsにはさすがに同じキヤノンのEOS 5D MarkIIIのような高感度特性はありません。なので、従来の35mmフルサイズ機の高感度画質とは若干イメージが異なることになりますが、低感度では5000万画素もの超高画素数とも合わせ、現時点のデジタル一眼レフでは圧倒的な画質が実現できることが比較的簡単にイメージできるのではないでしょうか。
センサーサイズが小さくても
この話を少し広げて考えていくと、イメージセンサーのサイズが小さくても画素数を欲張らなければ結果として十分な画素ピッチを確保することができ、1つ1つの画素に十分な面積を持たせることが出来るようになる、ということが見えてきます。
実際にその方向のセンサー・カメラ作りで、低感度ではかなり良い画質を実現できているコンパクトデジカメもあります。2/3型や1/1.7型センサーと言った、普及型のコンパクトデジカメよりも少し大きなイメージセンサーを搭載した、従来型の高級コンパクトデジカメのラインです。
また、恐らくは普及型のコンパクトデジカメやスマートフォンなどで使われている1/2.3型のセンサーの大きさでも、画素数を600万画素程度に抑えて裏面照射型の構造を採用し、さらに画質を低感度に特化する形でチューニングを行なえば、今のそのクラスのコンパクトデジカメが作る画像よりも、もっとずっと安定感の高い写真を作り出すことが可能になるはずです。
もちろん解像力は落ちてしまいますが、600万画素もあるとA4程度に家庭用のインクジェットプリンタで印刷するレベルであれば、十分にキレイな印刷が可能なポテンシャルはあるものです。
ただ、利用者にとっては、画素数の多い少ないのほうが製品のアピールポイントとしてわかりやすいケースが多いため、今の小型のイメージセンサーでもいわゆる「画素数競争」が止まらない形になっています。
大きなサイズのセンサーでは選択肢が広がったかたちに
35mmフルサイズセンサーのような大きなセンサーでは、今のイメージセンサーの製造技術を活用することで目指すことができる「高画質」の方向性の選択肢が広がっている、とも考えることが出来ます。
EOS 5Dsのように、解像力の面で画質を極める方向がその一つです。
その対極例はSONYのα-7Sシリーズになります。画素数を思い切り抑えることで、ダイナミックレンジなどの余裕と徹底的な高感度画質重視を指向したカメラです。
また、ニコンのD750やキヤノンのEOS 5D MarkIIIのように2000万画素+αクラスで、一般的には十分以上の解像力と高感度特性の両立を図って、より扱いやすいカメラとしたクラスもあります。
これら性格の大きく異なるカメラの中から、今はユーザが自分に合ったものを選択できるようになっています。こういった選択肢が生まれてきたこと自体、デジタルカメラ自体の成熟の度合いを表す指標の一つなのかもしれません。
大きなイメージセンサーであればこのような画質の方向性をどちらに振るかの方向性や幅も、小さなイメージセンサーよりもずっと広くなっています。
APS-Cサイズセンサーでさえ5000万画素を詰め込むことには無理があります。それよりも小さなサイズのセンサーであればなおのことです。こういった部分も大きなサイズのイメージセンサーならではの「余裕」と言えます。
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