シャッターユニットとシャッタースピードのお話  

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シャッターユニットとシャッタースピードのお話

2016/1/28

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シャッターユニットはフィルムやイメージセンサーに一定時間光を当て、その後、光を遮断するための装置です。大昔、フィルムの感度がきわめて低かった時代には、大まかな露出時間の調節で十分に役に立ったため、レンズキャップなどの開閉で代行されていたこともあります。

今はフィルムも、フィルムの感度を基準に作られてきたイメージセンサーも、きわめて高感度になりましたので、撮影のために光を当てる時間は非常に短くなり、またその時間の正確さが露出精度に直結ようになっているため、高精度にコントロールする必要が出てきました。

このため現在のシャッターは基本的には全て電子制御で、低速なシャッタースピードから非常に高速なところまで、きわめて高精度に制御が行なわれています。

現在使われているシャッターユニットとシャッタースピードにまつわる内容を、少し詳しく見ていきます。

シャッターの方式

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デジタルカメラが登場する以前は「電子式シャッター」というと、電子制御のメカニカルシャッターのことを表していました。

しかし、デジタルカメラの時代になってイメージセンサーのチップ自体にシャッター動作をシミュレートする機能が搭載されると、電子シャッターはこちらのイメージセンサーの機能によるものを指すようになっています。

そちらと対比するかたちで、電子制御であっても機械的に光を通したり遮断したりするタイプのシャッターは、メカシャッターや機械式シャッターと呼ばれるようになってきました。

このページでも、電子式シャッターはイメージセンサーの機能によるシャッターとして扱います。

電子式

イメージセンサーの画素一粒は太陽電池のようなもので、レンズからの光を受けるとそれぞれが光の強さに応じた電力を発生します。ほとんどのイメージセンサーでは、この光をうけて発電を行なって電気を蓄える時間を制御することが出来ます。この仕組みを利用して電子的にシャッター動作をシミュレートするのが電子シャッターです。

今デジタルカメラの世界で主流となっているCMOS型のイメージセンサーでは、画素1粒1粒が順番にこの動作を行なっていく形になっているチップがほとんどで、1粒の画素が光を受ける時間が大変短くても、その動作をイメージセンサー全体が終えるまでにはある程度の時間が必要になります。

画素1粒1粒の電気を蓄える時間の制御は全て電子的に行なわれますので、メカの動作を必要とする機械式のシャッターよりもはるかに高速のシャッタースピードが実現可能なのが特徴です。今では1/32000秒などといった、ストロボの閃光時間クラスの超高速シャッターを実現するイメージセンサーも存在します。

機械式

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金属の板などでフィルムやイメージセンサーに光が当たるのを遮ったり、光を通したりすることが出来るようにしたのが機械式のシャッターです。こちらはいろいろな方式で膜の開閉を行なって光の通過遮断をコントロールします。

コンパクトデジカメを含む多くのカメラには、この形式のシャッターが組み込まれています。携帯電話やスマートフォンのカメラでは機械式のシャッターは省略され、電子シャッターのみで動作しています。

機械式のシャッターは、シャッターを置く位置によってさらにいくつかの種類に分類することが出来ます。

フィルムやイメージセンサーの直前に置くのが「フォーカルプレーンシャッター」。レンズ付近に置くのが「レンズシャッター」です。

歴史的にはその他の形式のシャッターもいくつか存在しますが、現行のスチルカメラで使われるのは基本的には以上の2種類です。

電子式と機械式の合わせ技

最近のデジタルカメラでは、電子式シャッターと機械式のシャッターの合わせ技的な動作を行なうシャッターも開発されています。

シャッターユニットの発する振動や動作音を極力低減するために、シャッターが開き始める動作をイメージセンサー側の電子シャッター機能でスタートし、シャッターが閉じる側の動作を機械式のシャッターで担当する方式です。「電子先幕シャッター」などと呼ばれます。

シャッターユニット動作による振動が原因のブレを極力排除したい場合などに非常に有効な仕組みです。

機械式シャッターユニットの形式

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以下では、今でも使われているタイプの機械式シャッターの仕組みを少し掘り下げて説明します。

ミラーレス一眼、デジタル一眼レフ、35mmフィルムの一眼レフでは、全てのカメラがフォーカルプレーンシャッターを採用しています。また、コンパクトデジカメの一部や、フィルムの中判カメラの一部のレンズがレンズシャッターを搭載しています。

フォーカルプレーンシャッター

フォーカルプレーンシャッターは名前の通り焦点面(の近く)に置かれるシャッターです。現在は、コパルなどが開発した方式のシャッターが採用されることがほとんどとなっています。

この方式では、複数の金属などの板である幅のスリットを作り、そのスリットがイメージセンサーやフィルムの前を上下または左右に動くことで、シャッターの動作を行なっています。このため、上下に動作するタイプのフォーカルプレーンシャッターでは、画面の一番上と一番下では、厳密には微妙に光が当たるタイミングがずれています。

このタイプのフォーカルプレーンシャッターではシャッタースピードが遅くなっていくと、ある速度以下ではスリットの幅がフィルムやイメージセンサーの幅と同じになり、スリットが全開した状態を一度経る形で動作するようになります。この部分が後で述べるストロボとの同期のお話に絡んできます。

フォーカルプレーンシャッターではフィルムやイメージセンサー直前にシャッターがありますので、レンズ交換式カメラとの相性は良くなっています。シャッターが閉じた状態であればほかに遮光用の機構を作らなくても、誤ってフィルムが感光してしまうことがありません。

レンズシャッター

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レンズ付近に設けられるシャッターがこちらの形式です。こちらの方式の方がフォーカルプレーンシャッターよりも振動や音が小さく済むようになっています。

その代わりシャッタースピードの高速化にはあまり適していません。レンズの設計にも影響が出ることがあります。

中判カメラのレンズに搭載されるレンズシャッターでは、シャッタースピードは1/500秒程度が高速側の限界となっていました。仕組み的にストロボとは比較的相性の良いシャッターになっています。

シャッタースピード

シャッタースピードの意味

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シャッタースピードはフィルムやイメージセンサーのある1点に光が当たっている時間のことを言います。機械式でも電子式でもシャッターが動作しきる時間とは関係はありません。

写真の明るさ制御の観点ではシャッターが動作しきる時間は特に何にも関係がなく、通常はシャッターが動作しきる時間を意識する必要はありません。ですが、一部のケースではシャッターが動作しきる時間の遅さが問題として現れる場合があります。

シャッター動作と動体の歪み

特にそれが顕著なのは、電子シャッターで動作するスマートフォンや携帯のカメラで移動する被写体を撮影する場合です。横アングルにして走行している電車を撮影すると、現象がとてもよく分かる形で現れるはずです。

画面上側と下側とで実際に露出が行なわれるタイミングにズレがあるため、電車は大きく歪んで写るはずです。

厳密に見ていけば、機械式のフォーカルプレーンシャッターでも同様の現象は発生するはずですが、シャッターが動作しきる時間が非常に短いのでよほど高速な物体を撮影しない限りは、目に見えるレベルで被写体の歪みが現れることはありません。

シャッタースピードの系列

かつては現在使われている「倍数系列」と呼ばれるシャッタースピードの代表的な値の並びのほかに、区切りが良いとされる値を使った「大陸系列」と呼ばれるシャッタースピードの刻みも存在しました。

ですが大陸系列のシャッタースピードの並びでは、シャッタースピードを一段変えた場合に写真の明るさに影響を及ぼすレベルが、絞りやISO感度の数値の刻みを一段変えた場合とは異なることになりますので、実際の露出制御を人間が頭の中で考えるには向いていません。

こういった事情もあって、現在のカメラでは全てシャッタースピードは時間が倍ずつ変化していく刻みになっています。ただし今のデジタルカメラではより細かな露出制御を行なうために、代表的なシャッタースピードの刻みの1/3単位で指定を行えるカメラがほとんどとなっています。

ストロボとシャッター動作

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フォーカルプレーンシャッターを採用するカメラでは、通常ストロボを使用可能なシャッタースピードに上限があります。シャッタースピードのダイヤルがあれば、「X」の文字が刻んであるカメラもあると思います。そのポジションがストロボを使用可能なシャッタースピードの上限です。

通常のストロボが光っている時間はまさに「閃光」というのがふさわしい時間で、数千分の1秒とか1万分の1秒といった時間です。このためフォーカルプレーンシャッターのスリットが狭くなっている状態だと、そのスリットの幅しかストロボの光が当たらないことになります。

ですのでストロボを使用する際には、フォーカルプレーンシャッターのスリットが全開となる状態でしか利用が出来ません。こういったシャッタースピードをストロボ同調速度、などと表現することもあります。

現在の一般的なカメラはストロボとも双方向通信を行なって自動制御が行なわれますので、どのような撮影モードでもストロボが使用可能になると、シャッタースピードが自動的にストロボ同調速度以下に制御されることがほとんどです。

また、「FP発光」という特殊な発光モードを持つストロボでは、明るさは落ちるもののストロボが定常的に長時間発光できますので、こちらのモードを備えたストロボでは、フォーカルプレーンシャッター搭載のカメラでも、高速シャッターとストロボを併用可能です。

レンズシャッター搭載のカメラでは、シャッターが全開しきっていない状態でもイメージセンサーやフィルム全体に光が当たりますので、シャッタースピード全速でストロボとの同調が可能です。

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