Skip to content
営業時間 / 11:00~19:00

【レビュー・作例】Leica M3 × Summicron 50mm f/2 沈胴式|1950年代の名機と名レンズで楽しむフィルムスナップ

街を歩いていると、何気ない風景にふとカメラを向けたくなる瞬間があります。人が行き交う様子や、建物に差す光、少し視線を変えた先にある街の表情。特別な場所へ行かなくても、写真に残したくなるものは身近にあります。

今回ご紹介するのは、フィルムレンジファインダーカメラ「Leica M3(ライカ M3)」と、初代「Summicron 50mm f/2 沈胴式(沈胴ズミクロン)」の組み合わせです。

M3の登場は1954年。初代Summicron 50mm f/2はその前年にスクリューマウント版が登場し、M3に対応するMマウント版も1954年に発売されました。

ほぼ同じ時代に生まれた2つの機材を組み合わせ、自分の目で構図を探し、ピントを合わせ、シャッターを切る。今回は5枚の作例を軸に、50mmの標準画角と、機械式ライカで写真を撮る楽しさを紹介します。

Leica M3|50mmを見つめるための、約0.91倍ファインダー


Leica M3は、1954年に登場した35mmフィルム用レンジファインダーカメラ。ライカMマウントを採用した最初のM型ライカとして知られています。

最大の特徴のひとつが、約0.91倍の高倍率ファインダー。50mm・90mm・135mmの視野枠を備え、今回の50mmレンズならファインダー内で撮影範囲を確認しやすい設計です。

ピント合わせは、ファインダー中央の二重像を重ねるレンジファインダー方式。レンズを通した像を直接見る仕組みではありませんが、被写体の動きや周囲の様子を観察しながらピントを合わせられます。

M3には内蔵露出計もオートフォーカスもありません。露出を決め、ピントを合わせ、シャッターを切り、巻き上げレバーで次のコマへ。撮影の一連の流れを、自分の手で進めるカメラです。

手間はかかりますが、その操作を楽しめることこそ、機械式ライカの魅力といえるでしょう。

Summicron 50mm f/2 沈胴式|小さな鏡胴に詰まった、初代ズミクロンの魅力

Summicron 50mm f/2 沈胴式は、ライカの標準レンズとして長い歴史を持つズミクロンの初期モデルです。1953年にL39スクリューマウント版が登場し、1954年にはMマウント版も加わりました。

「沈胴式」の名前のとおり、使用しないときはレンズの鏡胴を縮めてコンパクトに収納できます。撮影するときは鏡胴を引き出して固定する仕組みで、金属製のクラシックな外観も印象的です。

レンズ構成は6群7枚。前部のレンズ間に空気層を設けた、いわゆる「空気レンズ」の設計でも知られています。

焦点距離50mmは、広角のように周囲を大きく取り込むのでも、望遠のように遠くのものを引き寄せるのでもない、標準的な画角です。何を写すかによって、近づいたり離れたりする撮影者自身の動きが、写真の構図に直結します。

開放F値はF2。絞りを開けば背景との距離によってボケが生まれ、絞り込めば奥の情報を画面に残しやすくなります。古いレンズの実際の描写は個体の状態にも左右されるため、作例を見ながら向き合うことが大切です。

作例レビュー|Leica M3と50mmで切り取る日常

50mm一本で撮影すると、目の前の景色をどこまで画面に入れるか、自然と考えるようになります。広く写したいときは数歩下がり、主題を引き立たせたいときは少し近づく。そんな距離の取り方にも、単焦点レンズの面白さがあります。

作例①|50mmの視点で、目の前の景色を選ぶ

標準レンズの50mmは、ただカメラを向けるだけで何もかもが画面に収まる焦点距離ではありません。だからこそ、目の前の景色の中から「何を残したいか」を考えることになります。

画面に入れるもの、あえて入れないもの。ファインダーを覗いて少し立ち位置を変えるだけでも、写真の印象は変わります。M3の50mm用視野枠は、そんな構図づくりの頼もしい手がかりです。

作例②|光と影を意識して、街を歩く

フィルムで街を撮るときに面白いのが、光の向きや明暗の違いを意識すること。光が当たる部分と影になる部分では、同じものでも見え方が大きく変わります。

Leica M3は露出を自動で決めてくれないため、外部露出計を使ったり、周囲の明るさを判断したりして絞りとシャッター速度を設定します。明るさが大きく変わらなければ設定を基本的に保ち、あとは構図に集中するという撮り方もできます。

作例③|主題と背景を、50mmの距離感でまとめる

50mmを使うときは、被写体との距離だけでなく、被写体と背景の距離も考えてみたくなります。

絞りを開いたときに生まれる背景のボケも、少し絞り込んだときに残る周囲の情報も、それぞれ写真の一部です。主題だけを切り出すのか、背景も含めてひとつの風景として見せるのか。設定と立ち位置の選び方に、撮影者の意図が表れます。

作例④|ファインダーの中で、瞬間を待つ

スナップ撮影では、同じ場所に立っていても、時間とともに見える景色が変化していきます。構図をある程度決めたら、あとはシャッターを切りたい瞬間を待つのも楽しい撮り方です。

自動巻き上げを備えたフィルムカメラとは違い、M3は一枚ごとに手動で巻き上げます。連続して撮る速さではなく、自分のタイミングで一枚を選ぶ感覚。その違いを味わえるのも機械式カメラの面白いところです。

作例⑤|見慣れた風景を、一枚の写真に残す

フィルム写真の魅力は、特別な被写体だけにあるわけではありません。普段通り過ぎる場所でも、カメラを持って歩くと、光や形、距離感に目が向くようになります。

50mmという一本のレンズで撮り続けると、焦点距離の違いに頼ることなく、自分の立ち位置や構図で写真を変えていく楽しさがあります。小さな沈胴ズミクロンは、そうした街歩きにも持ち出したくなる一本です。

自分の手で一枚をつくる。Leica M3ならではの撮影体験

自動巻き上げを備えたフィルムカメラには、テンポよく次の一枚を撮れるよさがあります。一方、Leica M3はシャッターを切った後に巻き上げレバーを操作し、自分の手で次の一枚に備えるカメラです。

絞りやシャッター速度、ピントを自分で決めることはもちろん、フィルムを進める操作まで手の中にあります。

手間が増える分、撮影のリズムも変わります。ファインダーを覗き、撮りたいものを見つけ、シャッターを切って、また次の一枚へ。

一枚を撮り終えるまでの操作そのものが、写真を撮る時間になる。

Leica M3と沈胴ズミクロンの組み合わせには、そんな機械式フィルムカメラの魅力があります。便利な機能が少ないからこそ、撮影者が自分で考えて選ぶ部分を楽しめるのです。

沈胴式Summicronを使う前に確認したいこと

沈胴式レンズは、撮影前に鏡胴を引き出して所定の位置で固定します。収納状態のままでは通常の撮影ができないため、構える前に確認しておきましょう。

また、Leica M3には内蔵露出計がないため、露出の確認には外部露出計などを使う方法があります。レンズの最短撮影距離は約1mなので、被写体に極端に近づく撮影には向きません。

長年使われてきた中古機材では、シャッターや距離計の精度、レンズの沈胴・固定動作、ガラスの状態なども、個体ごとに確認したいポイントです。

まとめ|70年以上前の組み合わせと、今の街を撮る

Leica M3とSummicron 50mm f/2 沈胴式。どちらも1950年代のライカを語るうえで欠かせない機材です。

約0.91倍のファインダーで構図を考え、二重像を合わせてピントを決める。シャッターを切ったら、巻き上げレバーで次の一枚に備える。

そんな一連の操作を通して、自分が写真を撮っているという感覚をしっかり味わえます。

50mmの画角も、沈胴式レンズのコンパクトさも、街を歩きながら撮影する時間に自然と馴染むものです。

特別な場所に出かけなくても、何気ない日常の中に撮りたい瞬間はあります。

お気に入りのフィルムを入れたLeica M3と一緒に、いつもの街を少し違う目で見つめてみてはいかがでしょうか。

今回使用したカメラとレンズ

Leica M3について

1954年に登場した、ライカMマウント採用の機械式レンジファインダーカメラ。50mmとの組み合わせを楽しみやすい高倍率ファインダーが特徴です。

  • 登場年:1954年
  • 形式:35mmフィルムレンジファインダーカメラ
  • マウント:ライカMマウント
  • ファインダー倍率:約0.91倍
  • 視野枠:50mm・90mm・135mm
  • 最高シャッター速度:1/1000秒
  • 露出計:内蔵なし
  • フィルム巻き上げ:手動(製造時期によりダブルストローク/シングルストローク)

Leitz Summicron 50mm f/2 沈胴式について

鏡胴を縮めて収納できる、初代ズミクロンの沈胴式モデル。Mマウント版とL39スクリューマウント版があります。

  • 登場年:1953年(L39版)、1954年(Mマウント版)
  • 焦点距離:50mm
  • 開放F値:F2
  • レンズ構成:6群7枚
  • 最短撮影距離:約1m
  • フィルター径:39mm
  • 特徴:沈胴式鏡胴

Summicron 50mm f/2 沈胴式の商品一覧はこちら

 

ファイブスターカメラでは、フィルムカメラやオールドレンズなど、さまざまな中古カメラ・レンズを取り扱っています。機材それぞれの個性を楽しみながら、お気に入りの一台、一本を探してみてください。

Previous Post Next Post
友だち追加