1999年、世界一小さなカメラメーカーを標榜した日本の「安原製作所」から誕生したレンジファインダーカメラ、安原一式 T981。
元京セラのカメラ技術者・安原伸氏が、わずか一人で立ち上げたメーカーの第一号機です。
今回の作例で組み合わせたのは、同じく1999年にリコーから1,700本限定で発売されたRICOH GR LENS 21mm f/3.5 L39。
日本のカメラ史に独自の足跡を残した二つの機材。その組み合わせで切り取る、21mmのフィルムの世界をご紹介します。

安原一式 T981|世界一小さなカメラメーカーが生んだ一台
1999年、日本の安原製作所から登場したレンジファインダーカメラ「安原一式 T981」。
安原製作所は、元京セラのカメラ技術者・安原伸氏が立ち上げた、「世界一小さなカメラメーカー」を標榜するメーカーです。
大手メーカーがオートフォーカス化や電子化を進める時代に、あえてマニュアル操作を基本とするレンジファインダーカメラを開発しました。
ライカスクリューマウント(L39)を採用し、機械式シャッター、最高1/2000秒のシャッタースピード、TTL露出計、等倍ファインダーを搭載。
クラシカルな外観と実用的な機能を両立させた、日本の小規模カメラメーカーによる意欲的な一台です。


RICOH GR LENS 21mm f/3.5 L39|1,700本限定の超広角レンズ
1999年、リコーからわずか1,700本限定で発売された「RICOH GR LENS 21mm f/3.5 L39」。
高い描写性能を追求してきたGRシリーズの設計思想を受け継ぎ、ライカスクリューマウントに対応した超広角交換レンズです。
光学系には6群9枚のレンズ構成を採用。対称型に近い設計によって歪曲収差を抑え、さらに前群と後群の鏡枠を個体ごとに調整することで、光学性能を引き出す工夫が施されています。
21mmの超広角ならではの広い視野と大胆な遠近感は、建築物や都市風景、ストリートスナップなど、さまざまな撮影表現に活用できます。
その後、2001年に登場するフィルムコンパクトカメラ「RICOH GR21」へとつながる、GRシリーズの歴史においても重要な一本です。

作例レビュー|21mmで見る街の表情
作例01|足元から広がる街の奥行き

最初の一枚は、街を歩く人々の足元と、アスファルトに落ちる長い影を捉えたカット。
21mmの超広角では、近くの被写体が大きく、遠くの被写体が小さく写る遠近感を活かした構図を作れます。
画面の大部分を占める路面の質感と、人物の足元から伸びる影。何気ない街角にも、超広角ならではの空間の広がりが生まれています。
作例02|都市建築とパースペクティブ

大きく見上げた建築物の直線が、空に向かって収束していく一枚。
建物の存在感を大胆に引き出しているのは、21mmという広い画角と、カメラを上に向けた撮影角度の組み合わせです。
GR LENS 21mmは、光学設計において歪曲収差の抑制が重視されたレンズ。建築物の撮影では、レンズ自体の歪曲と、撮影角度によって生じる遠近感の変化を意識すると、さらに面白い表現ができます。
作例03|街の距離感と、瞬間の記録

工事現場の前に立つ警備員と、奥へ続く通路を捉えたストリートスナップ。
画面を斜めに横切る建築物のラインが視線を奥へ導き、手前の人物と背景の間に独特の距離感を生み出しています。
安原一式 T981は、距離計によるピント合わせと手動でのシャッター操作を基本とするカメラ。21mmという画角を組み合わせることで、人物だけでなく、その場を取り巻く環境まで一つのフレームに収められます
作例04|光と影が形作る都市の造形

階段に差し込む強い日差しと、建物によって生まれた深い影。
明るく照らされた階段、暗部に沈む人物、そして建築物の幾何学的なラインが印象的な一枚です。
21mmの広い視野は、光が当たる場所だけでなく、その周囲の暗い空間まで取り込みます。
画面内の明暗差を構図の一部として利用できることも、超広角レンズを用いたストリート撮影の面白さです。
まとめ|異なる二つの個性が生み出す写真
独自の発想から生まれた安原一式 T981と、光学性能を追求して開発されたRICOH GR LENS 21mm f/3.5 L39。
どちらも1999年に登場し、それぞれ異なる背景を持ちながら、L39マウントによって組み合わせることができます。
マニュアル操作で一枚ずつ撮影する楽しさと、超広角21mmによる大胆な空間表現。
歴史を持つ二つの機材で、都市の日常をフィルムに記録する。その撮影体験そのものにも魅力を感じられる組み合わせです。
RICOH GR LENS 21mm f/3.5 L39の商品一覧はこちら
安原一式 T981について
1999年に発売された、安原製作所の35mmフィルムレンジファインダーカメラ。元京セラの技術者・安原伸氏が設計を手掛け、中国の鳳凰光学が製造を担当しました。
ライカスクリューマウント(L39)を採用し、さまざまなL39マウントレンズに対応しています。
シャッターには縦走り金属幕の機械式フォーカルプレーンシャッターを採用。シャッタースピードは1秒〜1/2000秒、バルブ撮影にも対応しています。
ファインダー倍率は等倍(1.0倍)で、50mm用ブライトフレームを搭載。TTL露出計を内蔵しており、ファインダー内のLED表示で露出を確認できます。
電源にはSR44電池を2個使用。電池は露出計に使用され、機械式シャッターは電池がなくても作動します。
幅・高さ・奥行:約138×80×35mm
重量:約500g(ボディのみ)
RICOH GR LENS 21mm f/3.5 L39について
1999年にリコーから1,700本限定で発売された、ライカスクリューマウント(L39)用の超広角単焦点レンズ。
焦点距離は21mm、開放F値はF3.5。レンズ構成は6群9枚で、対称型に近い光学設計を採用しています。
前群と後群の鏡枠を個体ごとに調整するなど、歪曲収差の抑制と光学性能を追求した設計が特徴です。
絞りはF3.5〜F22に対応し、絞り羽根は10枚。最短撮影距離は0.5mで、距離計連動範囲は0.7m〜無限遠です。
フィルター径は40.5mm。コンパクトな鏡胴に21mmの超広角光学系を収めています。
幅・奥行:約49.5×25.5mm(最大径×レンズ長)
重量:約200g
RICOH GR LENS 21mm f/3.5 L39の商品一覧はこちら
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