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Leica M EV1 × VARIO-ELMAR-R 28-70mm f/3.5-4.5 レビュー|EVFで楽しむRレンズと作例

Leica M EV1で、あえてRレンズを使ってみる

今回は「Leica M EV1」と「Leica VARIO-ELMAR-R 28-70mm f/3.5-4.5」の組み合わせを、実際の作例とともにレビューします。

一見すると少し不思議な組み合わせです。

Leica M EV1はMマウントのデジタルカメラ。一方、VARIO-ELMAR-R 28-70mm f/3.5-4.5は、かつて一眼レフのLeica Rシステム用として用意されていたRマウントのズームレンズです。

ところが、この「世代もシステムも異なる2台」を組み合わせてみると、M EV1というカメラの特徴が非常によく見えてきます。

それを可能にしているのが、M型ライカとして初めて内蔵された電子ビューファインダー、EVFです。ライカはM EV1を2025年10月に発表し、同年11月1日に発売。6030万画素のフルサイズBSI CMOSセンサーと、576万ドットのEVFを搭載しています。

レンジファインダーのないM型ライカ

M EV1の最大の特徴は、一般的なM型ライカの象徴ともいえる光学式レンジファインダーではなく、電子ビューファインダーを搭載していることです。

ファインダーには実際に撮影される範囲が表示され、露出や被写界深度も撮影前に確認できます。また、ピントが合った部分を色で示す「フォーカスピーキング」や、像を拡大して確認できる「フォーカスズーム」も利用できます。

これはMレンズを使う場合にも便利ですが、Rレンズを装着したときに特に意味を持ちます。

Leica純正のR-Adapter Mなどを介することで、M EV1にはLeica Rレンズを装着可能です。M EV1の取扱説明書でもR-Adapter Mを使用したRレンズへの対応が案内されています。

1990年生まれのRマウント標準ズーム

Leica VARIO-ELMAR-R 28-70mm f/3.5-4.5は、1990年に登場したRマウント用の標準ズームです。

28mmの広角から70mmの中望遠までを1本でカバーし、レンズ構成は11枚8群、最短撮影距離は0.5m。フィルター径はE60です。後期型も存在し、ライカレンズ研究で知られるErwin Putsの資料では、後期型では特に28mm側の性能が改善されたとされています。

現代の高性能ズームのように、画面全体を徹底的に均一化したレンズとは少し性格が違います。Putsの評価では高いコントラストを持つ一方、28mm側では樽型、望遠側では糸巻き型の歪曲も指摘されています。

だからこそ、このレンズを「古いから劣る」と見るよりも、その時代のズームレンズが持つ描写を6030万画素の最新ボディでどう見せるのか。そこに今回の組み合わせの面白さがあります。

EVFだから28-70mmのズームが面白い

この組み合わせで面白いのが、ズームを構図作りのために使えることです。

通常のレンジファインダー式M型ライカでは、ファインダー内のブライトフレームを目安に撮影範囲を確認します。一方、EVFを搭載したM EV1では、28mmでも50mmでも70mmでも、そのとき実際に写る範囲をファインダーで確認できます。

街中では、人物や標識、建物、反射など、ほんの少しカメラを向ける方向が変わるだけで画面に入るものが大きく変わります。そんな場面で28-70mmのズームがあると、「どこまで入れるか」「どこから切るか」をファインダーを見ながら細かく調整できます。

この一枚では、鏡面を境に人物や自転車が左右へ繰り返され、実際の街と反射した世界が重なっています。

中央の縦線を軸にしながら、左右の人物、自転車、奥の標識までが画面の中に入り、日常の一場面がどこか非日常的な光景に見えてきます。

こうした写真では、ズームは単純に「遠くのものを大きく写すため」のものではありません。

画面の中に何を残し、何を外すかを決めるための道具。

そして、その結果をEVFで確認しながら構図を詰められることが、M EV1と28-70mmズームの組み合わせの面白さです。

古いレンズと6030万画素で見る、光と影

ガラス、柱、反射、そして人物のシルエット。

この写真では、解像力の数字よりも、黒からグレー、白へと変化していく階調の重なりが印象に残ります。

最新のM EV1と数十年前のRズームを組み合わせる意味は、「古いレンズを最新センサーでどこまで解像させられるか」だけではありません。

むしろ、昔の光学系を通した光を、現代のセンサーでどう受け止めるのか。

その違いを自分の目で確かめられること自体が、オールドレンズをデジタルで使う楽しさです。

28-70mm一本で、視線を変えていく

最後は、それまでの街中の写真から大きく視線を上へ向けた一枚。

画面の大部分を空が占め、黒く落ちた木々の上を小さな飛行機が通過しています。

情報量は少ないのに、飛行機の位置によって自然に視線が上へ導かれます。

標準ズームというと便利さが先に語られがちですが、28mmから70mmまで使えるということは、同じ場所にいながら自分の視線そのものを変えられるということでもあります。

Leica M EV1は、昔のRレンズをもう一度楽しめるMかもしれない

Leica M EV1とVARIO-ELMAR-R 28-70mm f/3.5-4.5。

それぞれが登場した時代は大きく異なりますが、実際に組み合わせてみると、その違いこそがこのセットの面白さに感じられます。

M EV1はEVFを搭載しているため、Rレンズを装着した場合でも実際の画角を確認しながら撮影できます。さらに、フォーカスピーキングや拡大表示を使えば、マニュアルフォーカスでのピント合わせもしやすくなります。

かつてLeica Rで使われていたレンズを、アダプターを介して最新のMボディで使う。

単に「古いレンズをデジタルで使える」というだけではなく、そのレンズを今の撮影スタイルの中でもう一度楽しめることが、この組み合わせの魅力です。

今回使用した28-70mmのようなRレンズも、M EV1と組み合わせることで再び街へ持ち出したくなる存在になります。

新しいMで、昔のライカレンズを楽しむ。

M EV1には、そんな使い方もよく似合います。


Leica M EV1について

2025年に発売された、ライカMバヨネットマウントを採用するフルサイズミラーレスカメラです。

6030万画素の裏面照射型CMOSセンサーを搭載し、M型ライカとして初めて電子ビューファインダー(EVF)を内蔵しています。EVFは576万ドット、視野率100%で、実際に撮影される範囲を確認しながら構図を決められます。

ピント合わせはマニュアル方式で、ピントが合っている部分を色で表示する「フォーカスピーキング」と、撮影画面を拡大して確認できる「フォーカスズーム」に対応しています。

従来の光学式レンジファインダーではなくEVFを使って撮影することで、Mレンズだけでなく、アダプターを介した対応レンズでも構図やピントを確認しやすいことが特徴です。

質量:約484 g / 402 g(バッテリー有/無)

 

Leica VARIO-ELMAR-R 28-70mm f/3.5-4.5について

1990年に登場した、Leica Rマウント用のマニュアルフォーカス式ズームレンズです。

焦点距離は28mmから70mmまでをカバーし、開放F値はF3.5〜F4.5。広角から中望遠までの画角を1本で使用できます。

レンズ構成は8群11枚で、最短撮影距離は0.5m。フィルターはE60に対応しています。

Leica Rシリーズの一眼レフカメラ用として用意されたレンズで、ズームとピント合わせはいずれも手動で操作します。

重量:465g


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