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【作例付き】SIGMA fpとNIKKOR-S.C 50mm f1.4(Sマウント)レビュー|小さなフルサイズと昭和の名玉

こんにちは。

デジタルカメラの進化は目覚ましく、誰でも簡単に美しい写真が撮れる時代になりました。だからこそ、私たちはあえて「ひと手間」を求めたくなるのかもしれません。

今回私が持ち出したのは、現代のミニマリズムを体現したようなデジタルカメラと、昭和の日本を鮮やかに写してきたオールドレンズ。一見すると交わることのなさそうなこの2つの組み合わせが、私の見慣れた街を全く新しい世界に変えてくれました。

選んだカメラは、SIGMA fp

「フルサイズセンサーを積んだ、最も小さな箱」 そんな割り切ったコンセプトが生み出した美しさは、何度見ても惚れ惚れします。無駄な装飾を一切排除したソリッドなボディは、どんなレンズをも受け止める包容力に満ちています。

そして、今回この相棒に合わせるのが、NIKKOR-S.C 50mm f1.4(Sマウント)です。

かつてニコンのレンジファインダーカメラ「ニコンSシリーズ」用として一世を風靡した、歴史的な大口径標準レンズです。レンズ名にある「C」の文字は、当時としては先進的だったコーティング(Coating)が施されている証。

マウントアダプターを介して、新旧の思想が一つに融合する。NIKKOR-S.C 5cm F1.4はNikon Sマウント特有のボディ側ヘリコイド方式を採用しているため、SIGMA fpで使用するにはヘリコイド付きアダプターが欠かせません。
この少しアンバランスで、けれど最高に格好いい相棒を首から下げて、初夏の新宿の街へと歩き出しました。

新宿駅を降りると、そこは相変わらずエネルギーの塊のような空間でした。 特にいま、駅周辺は未来に向けて大きな姿を変えようとしています。

見上げると、青空に真っ直ぐ突き刺さるような大きなクレーン。その向こうには、昔から変わらないルミネエストの文字が見えます。 SIGMA fpの素直な発色の中に、NIKKOR-S.Cのどこか懐かしい線が混ざり合う。ピントリングを回すその瞬間、都会の喧騒がふっと遠のき、自分だけの時間が流れ始めます。

大きな再開発のダイナミズムから視線を少し下げると、街の足元にはひっそりと、けれど力強く生きる自然の営みがありました。

ビルの隙間、日陰に咲いていた花。 絞りを開けてシャッターを切ると、背景が溶けるように滑らかにボケていきました。現代のレンズのようなカリカリとしたシャープさはありませんが、ピント面の優しさと、にじむような光の表現はオールドレンズならでは。初夏の潤った空気が、そのまま写真に閉じ込められたような気がしました。

このレンズを付けていると、普段なら通り過ぎてしまうような「街のディテール」にばかり目が向いてしまいます。

工事現場に停まっていた重機の鮮やかなイエロー、そして路地裏に佇む連結送水管と2つの赤いカラーコーン。 なんてことのない街の景色です。しかし、レンズを通した光は、まるで映画のワンシーンのようなドラマチックな陰影を帯びていました。ハイライトの柔らかな滲みと、シャドウへと向かうなだらかなグラデーション。SIGMA fpの豊かなダイナミックレンジが、レンズの持つ個性を100%引き出してくれているのが分かります。

歩みを止めてふと目をやると、年季の入ったガチャガチャのマシーンが並んでいました。

プラスチックが反射する光。マニュアルフォーカスでじっくりとピントを合わせる時間は、まるでこのカプセルを一つ選ぶときのような、子供時代の静かな高揚感に似ています。効率を重視する現代だからこそ、この「ピントを合わせる」という一手間が、写真への愛着を深くしてくれます。

やがて日が傾き、新宿の街に濃い影が落ち始めると、ネオンの光が息を吹き返します。

ビルに掲げられた、赤いネオン看板のディテール。 暗がりに浮かび上がる赤い光の艶っぽさは、まさにNIKKOR-S.Cのコーティングが魅せる魔法でしょう。現代のレンズならもっと均一に写るのかもしれません。しかし、このオールドレンズが見せる、少しノスタルジックで情熱的な赤は、かつてこのレンズが昭和の夜の街を写してきた記憶が蘇ったかのようです。

撮影を終えて

SIGMA fpとNIKKOR-S.C 50mm f1.4。 この組み合わせで歩いた新宿は、いつもより少しだけ優しく、そして情緒的に見えました。

超高画質で失敗のない写真が撮れる現代において、オールドレンズを使って自分の手でピントを合わせ、そのレンズ固有の「癖」を楽しむ。それは決して後ろ向きな懐古主義ではなく、写真を撮るという行為そのものを贅沢に楽しむための、最も新鮮な方法なのかもしれません。

ポケットに入るほど小さなフルサイズカメラに、歴史を生き抜いてきた名玉を添えて。 あなたも眠っている古いレンズを呼び覚まし、新しい街の記憶を紡いでみませんか?

 

  1. SIGMA fp

2019年に発売された、世界最小・最軽量(※発売当時)のフルサイズミラーレス一眼カメラ。約2460万画素の裏面照射型CMOSセンサーを搭載し、高い携帯性と優れた画質を両立しています。

スクエアなアルミボディによる洗練されたデザインや、多彩なカラーモード、静音・無振動のフル電子シャッターも魅力。スナップから映像制作まで幅広く活躍する一台です。

幅・高さ・奥行:約112.6mm×69.9mm×45.3mm

重量:約422g(バッテリーおよびSDメモリーカード含む)/約370g(ボディのみ)

 

  1. NIKKOR-S.C 50mm f/1.4(Sマウント)

1950年代に登場した、Nikon Sシリーズ用のSマウント大口径標準レンズです。F1.4の明るさを備え、当時の報道やスナップ撮影で高い評価を受けました。

「C」はコーティング(Coating)を意味し、豊かな発色とオールドレンズならではの柔らかな描写が魅力。現代のミラーレスカメラでも人気の高い一本です。

 

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NIKKOR-S.C 50mm f1.4(Sマウント)の商品一覧はこちら

 

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