こんにちは。
今回は、今なお根強い人気を誇るニコンのフルサイズ一眼レフの名機「Nikon D750」に、ファンの多い孤高のマニュアルフォーカスレンズ「Carl Zeiss Planar 50mm f/1.4 ZF.2 T*(ニコン用)」を組み合わせて、初夏の街を歩いてきました。

オートフォーカス(AF)で瞬時にピントが合うカメラが当たり前の時代だからこそ、ファインダーを覗き、自らの手でじっくりとフォーカスリングを回す。そんな「写真を撮る歓び」を、10枚の作例とともにお届けします。
都会の隙間に咲く、鮮やかな色を見つける
D750を肩にかけ、新宿の超高層ビル街へと歩みを進めます。 大型でホールド感の良いD750のグリップは、金属鏡筒でずっしりと重みのあるPlanarレンズと抜群のバランスを保ってくれます。光学ファインダーの視界は明るく、マニュアルフォーカス(MF)のピントの山がとても掴みやすいのが特徴です。
ビル群の足元、ふと視線を落とすと、小さな自然が息づいていました。
まずはPlanarの開放付近の描写を試すべく、植え込みに咲く白い花に近づきます。

ピントを合わせた中央の花びらはハッとするほどシャープでありながら、周辺へと向かって溶けていくような柔らかいボケ味。これぞツァイスのPlanarと言わしめる、立体感のある描写です。
少し歩を進めると、今度は鮮やかなピンク色のツツジが視界に飛び込んできました。 都会の直線的なビル群を背景に、あえて手前の花を大きくぼかして、画面に華やかさを添えてみます。

ツァイス伝統の「T*(ティースター)コーティング」がもたらす抜けの良い発色は、都会のコンクリートやガラスの質感を引き立てつつ、ピンクの色彩を濁りなく鮮やかに定着させてくれます。前ボケの滑らかさも息をのむ美しさです。
視点を変える。歩道橋の上から見下ろす「光と影」
都会のスナップでは、視線の高さを変えるだけで全く違うドラマが見えてきます。 歩道橋の上に立ち、行き交う人々や乗り物を高い視点から捉えてみることにしました。
目の前を横切ったのは、アスファルトに描かれた青い矢印の上を颯爽と進むバイク。

動く被写体へのマニュアルフォーカスは緊張感がありますが、D750の軽快なシャッター音とともに狙い通りに切り取れた瞬間は、AFでは味わえない格別の達成感があります。
ふと横を見ると、強い日差しを遮るように、白い日傘を差したスーツ姿の女性が通り過ぎていきました。

路面に落ちる濃い影、タイルの幾何学的なパターン。Planarのコントラストの高さが、都会の乾いた光と影をドラマチックに演出します。
さらに視線を移すと、ビルの狭間、眩しい光が差し込む通路を歩くビジネスマンの姿が。

スニーカーを合わせて軽快に歩くその姿は、いかにも現代のオフィス街の日常。D750の2432万画素という絶妙な画素数は、ビルのタイルのディテールを潰すことなく、それでいてファイルサイズが重すぎず、テンポの良いスナップに最適です。
そんな忙しない街の片隅で、ふと足を止めて佇む人の姿もありました。

手前の手すりを大胆にぼかし、下部には青々とした緑を配置。前後のボケに挟まれた中央の男性の後ろ姿が、都会の孤独や静寂を感じさせます。
昭和の面影を残す、賑やかな雑踏へ
近代的なビル街を抜け、今度はどこか懐かしい看板が立ち並ぶ繁華街のエリアへ。 そこには、先ほどまでの静けさとは異なる、人間のエネルギーが満ち溢れていました。

「あっちだよ」と何かを指差す男性と、それを見上げる白いジャケットの老紳士。 雑多な看板が背景にありながらも、Planarの持つ浅い被写界深度(ボケの大きさ)によって、主役である二人の存在感がグッと引き立ちます。すれ違う人々の一瞬の表情や動きを、50mmという人間の視野に近い画角でありのままに切り取ります。
50mmが写し出す、仲間との距離
今回の街歩きには、大切な仲間が同行してくれていました。 スナップの締めくくりとして、この50mmという「標準レンズ」の画角を活かし、彼をモデルにポートレートを撮影させてもらうことに。
50mmは、相手に威圧感を与えず、日常の会話の延長線上でシャッターを切ることができる魔法の距離感です。
まずは、並木道を歩く彼を一歩引いた位置から。

手前の緑のボケが、まるで生い茂る木々の隙間から彼を見守っているような、物語の1ページのような雰囲気を生み出します。
街角でふと足を止め、彼が視線を落とした瞬間。

光に透ける髪の毛の一本一本、クリアフレームのメガネの質感。うつむく表情から、言葉にできない繊細な空気感が伝わってきます。D750のクリアな光学ファインダーだからこそ、髪の毛のピントの芯を、指先で繊細にコントロールすることができました。
「ねえ」と声をかけると、彼がこちらを振り返りました。

背景は完全に溶け去り、彼だけが背景から浮かび上がるような圧倒的な立体感。 ニコンD750の持つ、温かみがありつつも誠実な色再現性と、ツァイスPlanarが持つ極上のシャープネスとボケ味。その2つが最高のリズムで噛み合った、お気に入りの1枚が撮れました。
機材が教えてくれる、写真を撮る楽しさ
【Nikon D750】と【Carl Zeiss Planar 50mm f/1.4 ZF.2 T*】。 この組み合わせは、決して「打率」を競うためのカメラではありません。1枚1枚、被写体と向き合い、フォーカスを合わせ、光を読みながらシャッターを切る。その一連のプロセスそのものを愛おしく思わせてくれるセットです。
ミラーレスカメラが主流となった今だからこそ、一眼レフの「ファインダーを覗いて撮る」感覚、そしてオールドレンズのエッセンスを色濃く残すツァイスのMFレンズの魅力は、より一層輝きを増しています。
あなたも、お気に入りのカメラとレンズを携えて、いつもの街へ出かけてみませんか?そこには、きっとまだ見ぬストーリーが待っているはずです。
1. Nikon D750
2014年に発売されたフルサイズ(FXフォーマット)デジタル一眼レフカメラ。
約2432万画素の高画質と優れた高感度性能を誇り、暗所でもノイズを抑えた美しい写真が撮れるのが特徴です。ホールド感の高い深型グリップや、多彩なアングルからの撮影を可能にするチルト式液晶モニターを搭載。機動力と本格的な描写力を兼ね備え、プロからハイアマチュア、そして現在も多くの写真愛好家に信頼され続けている名機です。
・幅・高さ・奥行:約140.5mm×113mm×78mm
・重量:約750g(バッテリーおよびSDメモリーカードを含む、ボディーキャップを除く)/約650g(ボディーのみ)
2. Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZF.2
伝統的な光学設計を受け継ぐ、焦点距離50mmの標準単焦点マニュアルフォーカスレンズ。
開放F値1.4という驚異的な明るさを持ち、浅い被写界深度による大きく美しいボケ味を楽しめます。「T*(ティースター)コーティング」により、フレアやゴーストを抑えたクリアでヌケの良い描写が魅力。ZF.2マウントはCPU内蔵のニコン用で、カメラ側での露出制御や撮影情報の記録に対応。金属製鏡筒の心地よい操作感とともに、情緒豊かな表現力を提供してくれる極上の一本です。
・最大径×全長:約φ66mm×48mm(マウント面まで)
・重量:約330g
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