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【作例付き】街を泳ぐ、25m防水。Canon PowerShot D30

こんにちは。

今回ご紹介するのは、2014年生まれのタフネスカメラ「Canon PowerShot D30」。
「世界最深25m防水」「2m耐衝撃」「マイナス10℃耐寒」と、過酷な大自然を生き抜くための無骨な数字がずらりと並ぶモンスターマシンです。

ですが、声を大にして言いたい。 このカメラが本当に面白いのは、1ミリも水に濡れる心配のない、カラカラに晴れた都会のアスファルトの上です。

ダイビングスーツではなく私服に身を包み、この無骨なブルーの塊をポケットに突っ込んで街へ繰り出す。そんな「宝の持ち腐れ」という名の、最高に贅沢なスナップへ出かけてきました。

タフネス機を街に連れ出す理由

過酷なアウトドアではなく、こんなにも穏やかな日常の木漏れ日の中に、25m防水のギアを連れ出す贅沢。

■ スマホのAIが忘れた、あの頃の「硬質な青空」

現代のスマホカメラは賢すぎます。青空を見れば「はい、彩度盛ります!」、ビル影を見れば暗部を無理やり明るく補正して、どれも似たような“お利口な絵”にしてしまう。

意地悪な言い方をすれば、どれも平坦で嘘くさいのです。 でも、D30が叩き出す絵はどこか無骨で、ストレート。

突き抜けるような青空と強烈な日差し。等倍でカリカリに解像させるのとは違う、1枚の「写真」としてのまとまり。

1/2.3型、約1210万画素という、現代の基準から見れば「スペック控えめ」なセンサー。だからこそ、日中の強い光を受けたビル群のハイライト(明部)が、粘りきれずにわずかに白くトびかける。

でも、これがいい。この「あぁ、今日めちゃくちゃ眩しいわ」という空気感ごと、光をそのまま焼き付けたような質感が最高に心地いいんです。

超高層ビルの狭間から覗く白い雲。どこか2000年代のデジタル一眼レフを彷彿とさせる骨太な立体感がある。

■ 街に溢れる「原色」を美味しく料理する

キヤノンの映像エンジンDIGICが弾き出す色水は、タフネス機になっても健在。特に「赤」や「青」、そして植物の表現が滅法おもしろい。

高層ビルを背に、信じられない密度で咲き誇る花。スマホのように「盛らない」、記憶の中の鮮やかなピンク。

冷徹なグレーのコンクリートジャングルの中で、ここだけ生命力が爆発しているようなコントラスト。D30は実に見事に捉えてくれます。

路地裏で見つけた、青い自販機と使い込まれた自転車。路面にカチッと落ちた電線の影の硬さが心地いい。

これ、スマホならもっと全体をフラットに明るくしちゃうはずなんです。でもD30は、自販機の「青」、進入禁止の「赤」、そして鋭い影を、そのままのコントラストで置いていく。なんてことないストリートの断片が、途端にコンデジ黎明期のストリートスナップのような文脈を帯び始めます。

■ 「過保護」からの解放。地面に擦りつける快感

10万円を超える高級コンデジや、画面が割れたら泣く最新スマホを持っていると、どうしても撮影スタイルが上品になります。傷を恐れて、カメラをいたわってしまう。

しかし、こいつは「耐衝撃2m」の鉄壁ボディーです。

アスファルトの隙間に力強く生きる緑と、そこに這い寄るように落ちた自転車の影。日常の足元に、躊躇なくレンズを向けられる安心感。

歩道のインターロッキングの隙間、信じられないほどわずかな土壌から顔を出した小さな緑の植物。そこに、鮮やかなピンクの花が咲き、誰かがそこに止めたであろう自転車のホイールとペダルの影が、強い日差しを受けてカチッと重なっている。

歩いていて「あ、いいな」と思った瞬間、私は何のためらいもなくD30を構え、足元を見下ろしてシャッターを切りました。

高級なコンデジや剥き出しのスマホなら、「もし手が滑ってコンクリートに落としたら……」「万が一傷がついたら……」という一瞬の躊躇が、撮りたい気持ちにブレーキをかけます。 でもD30なら、ガシガシ使い込まれた道具のように、自分の視線が動いた先へノータイムでカメラを向けられる。

カメラが頑丈であるということは、そのまま「撮影者のフットワークから躊躇が消える」ということ。傷を恐れないスナップが、どれほど自由で爽快か、D30は思い出させてくれます。

■ 日常を「切り取る」コンデジらしさの復権

スマホの広角レンズは優秀ですが、なんでもかんでも「広く写りすぎる」のが玉に瑕。 対してD30のレンズは28-140mm相当(光学5倍)。この「ちょっと狭い」視野が、街のノイズをバッサリと切り落としてくれます。

歩道橋の上から、白い日傘を差して歩く人をハイアングルで。強烈な光が生み出すシャープな日陰のストライプ。

レンズ自体は決して明るいものではありません。でも、この「いい意味でのチープさ(失礼!)」が、日中の強い光を適度にいなし、シャープで引き締まった黒(シャドウ)を作ってくれる。これぞスナップの醍醐味です。

働く男たちのブルーの制服、重機の鮮烈なイエロー。街の解体現場さえも、D30を介すと生々しいドラマになる。

■ 東京を歩く、最高の「裏メニュー」

狭い路地の奥から見上げる、青いガラスの摩天楼。都会の隙間を切り取るテンポ感が抜群にいい。

ダイビンググローブをはめたままでも操作できるように設計された大きなボタン。これは、都会の人混みの中で「片手でサッと構えて、撮って、ポケットに戻す」という一連の動作において、これ以上ない快適さをもたらしてくれます。

「防水カメラだから海や山で使う」 そんな常識を、一度ゴミ箱に捨ててみませんか?

このゴツくて愛らしい相棒をコンクリートジャングルへ連れ出すと、スマホの画面越しに見る世界とはちょっと違う、骨太で鮮やかな日常がファインダーの中に現れます。

中古市場で見つけたら、海に沈める前に、ぜひ「街用スナップシューター」として拉致してみてください。きっと、歩き慣れた街が少し違って見えるはずです。

 

 

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