知っているようで知らない!? レンズに書かれたアルファべット【Tamron編】  

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知っているようで知らない!? レンズに書かれたアルファべット【Tamron編】

2016/5/16

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先日執筆させていただいた『知っているようで知らない!? レンズに書かれたアルファべット』【Nikon編】と【Canon編】がたくさんの方にご好評いただいており、大変うれしく思っております。

ご好評いただいている2本の記事はこちら!
●知っているようで知らない!? レンズに書かれたアルファべット【Nikon編】
●知っているようで知らない!? レンズに書かれたアルファべット【Canon編】

それと同時に、「他のメーカーのレンズについても同じような記事を書いてもらえないか」「自分は純正品ではなく、タムロンなどのいわゆるサードパーティレンズを使っているのだが、もしそのレンズについての記事があれば参考にしたい」といった、とても嬉しいお問い合わせをいただきました。

今回と次回はサードパーティレンズメーカーを代表する、タムロン社とシグマ社の2社のレンズに書かれたアルファベットについて詳しく説明させていただきたいと思います。

まずはタムロンから!どうぞご覧下さい。

交換レンズメーカーの雄、タムロン

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カメラの交換レンズメーカーとして、世界シェアトップを誇るのがご存知、タムロンです。そのシェアは世界の交換レンズ市場の約2割に上り、売上高はおよそ638億円にもなるそうです。これは二番手であるシグマに100億円近い差をつける「独走」っぷりです。

タムロンは1950年に、泰成光学機器製作所として創業しました。その後8年後の1958年に初めて、「タムロン」を自社のブランド名として採用し、それから12年後の1970年、社名をブランド名と同じ「タムロン」に変更しました。

現在はイギリス、香港、中国、フランス等にもグループ会社を構える大企業です。

主にマクロレンズ、高倍率ズームレンズ、大口径ズームレンズ、マニュアルフォーカスレンズなどのレンズを主力とした商品構成になっています。

一方で、2015年には同社初となるオートフォーカスの単焦点レンズ、SP 35mm F/1.8 Di VC USD(モデル名 F012)、SP 45mm F/1.8 Di VC USD(モデル名 F013)も発売されたのは記憶に新しいのではないかと思います。

これは競合であるシグマのレンズにも言えることですが、なんといってもそのレンズの魅力はコストパフォーマンスの高さでしょう。

また、工業用のプリズム原器やレンズ原器製作の技術を持ち、コーティング技術に優れている点も大きな魅力の一つです。

さて、少し話が逸れてしまいましたが、いよいよ本題です。タムロンの交換レンズに書かれたアルファベット、詳しく見ていきましょう。

現行レンズの必須機能、AF

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タムロンレンズに書かれているアルファベットを眺めたときに、一番最初に表記されているのがこのAF=オートフォーカスです。もちろん、A=Auto、F=Focusの頭文字ですね。

タムロンのAFレンズの歴史は、1987年に発売された「AF 35-135mm F/3.5-4.5」に始まり、モデル名を40Dといいます。これはミノルタ・アルファシリーズカメラ用の交換レンズで、最も使用頻度の高い焦点距離をカバーし、AFカメラの機能を最大限に発揮してくれるレンズでした。

レンズ構成:13群15枚で、高倍率ズームレンズながらコンパクトなサイズや軽快な操作感は、交換レンズメーカーの面目躍如といったすばらしい仕上がりのレンズになっています。

なお、この「AF」の表記のないものがマニュアルフォーカスレンズになります。

ちなみに、この「AF」の前に「SP」の二文字が冠されたレンズもあります。これはS=Super P=PerformanceとSpecialの2つの意味を持ち、タムロン製品の中でも高級レンズにのみ付けられる表記です。

最も大切なレンズの情報、焦点距離と開放F値

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次に表記されるのが、レンズ情報の要、焦点距離と開放F値です。焦点距離は一般的に28mmや50mm、100mmなどといった数値で表されます。ズームレンズの場合は、18-55mmというように焦点距離の両端の数字で表します。

焦点距離と開放F値については、『知っているようで知らない!? レンズに書かれたアルファべット【Nikon編】』の「焦点距離と開放F値」の項でもう少し詳しく説明させていただいているので、興味のある方はそちらをご覧下さい。

焦点距離と開放F値についての詳しい説明はこちら!
●知っているようで知らない!? レンズに書かれたアルファべット【Nikon編】

デジカメに配慮した光学設計「Di」

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焦点距離と開放F値の次に書かれることのあるアルファベットが、DiあるいはDi IIDi IIIです。

D=Digitally、i=Integrated designの略で、デジタル一眼レフカメラの特性に配慮した光学設計のレンズです。

デジタルカメラに配慮した光学系のDiレンズは、2003年発売のSP AF28-75mm F/2.8(モデル名 A09)以来、多くのユーザーに好評を博してきました。

Diレンズは、最初は高仕様をコンセプトにしたSPレンズシリーズのみに採用されていましたが、ズーム比・コンパクトさなどの利便性と高画質をコンセプトにした、SPシリーズ以外の商品群のDi化を望む多かったため、AF 28-300mm F/3.5-6.3 LD Aspherical IF MACRO(モデル名 A06)を皮切りにDi化されました。

なお、Di(数字表記無し)、IIの最も大きな違いは「フィルム兼用」か「デジタル専用」か、の違いになります。また、Di IIIは「ミラーレス専用」レンズになります。
Di IIはフィルムカメラ(もしくは、1.5倍換算未満のデジタル一眼レフ)に装着すると、イメージサークルが足りません。DiとDi IIのレンズにおいて、同じ焦点距離をカバーするレンズがほとんど見受けられないのは、同じ焦点距離でそのままイメージサークルを狭くしてDi IIとして発売する意味があまり無いからであるといえます。(その例として、28-300mmをデジタル一眼レフ用に置き換える意味で作られた、18-200mm Di II等があげられます。)

タムロンの手ブレ防止機構

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続いて表記されているのが、VCの二文字で、V=Vibration、 C=Compensation(バイブレーション・コンペンセーション)の略で、簡単に言えば、「手ブレ補正機構」の略です。

キヤノンの「IS」やニコンの「VR」と同じ位置づけと考えていただいて結構です。

この機構は、3つのスチールボールと3つの駆動コイルが補正レンズ(VCレンズ)を電磁的に動かし、摩擦抵抗を減らしてくれる構造になっています。この「3コイル方式」により、レンズ内部の補正機構が更に滑らかになり、夜景や室内などの低照度下での場面やマクロ撮影時や、中望遠で発生しやすい手ブレを高い精度で補正してくれるのです。

異常低分散レンズ「LD」

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次に表記されることのあるアルファベットがLDの二文字で、L=Low、D=Dispersionの略になります。
Low Dispertionは「低分散」という意味で、タムロンの用いている名称は「異常低分散レンズ」となります。

ところで、この「Low Dispertion」という言葉、どこかで目にしませんでしたか?分かった方はスゴイ!記憶力の持ち主か、大変なカメラ知識を持っている方だと思います。

そう、このLow Dispertionレンズ、すなわち異常低分散レンズはニコンの「特殊低分散レンズ」、EDレンズと仕組み的に同じものなのです。

写真撮影時に光の波長の違いによる結像位置の違いや倍率の違いによって起こるやっかいな現象、色収差を、タムロンは分散性の低いこのLDレンズで補正します。

このLDレンズは色にじみを良好に補正し、特に高倍率で野生動物や手の届かないところに生えている植物などを観察、撮影する時などに大きな効果を発揮してくれます。

LDガラス以外にもある!タムロンの特殊ガラス

さて、「LD」のほかにもタムロンのレンズには2文字が表記されているレンズがいくつかあります。

そのうちの一つがXRで、X=Extra、R=Refractiveの略です。Extra Refractiveとは、高屈折という意味で、前群に高い屈折率のレンズを用い後群のレンズで収差を補正するテクノロジーのことも指します。トキナーの「XR」と同意と捉えていただいて結構です。

XRレンズには、この高い屈折率で光学全長を短くし、レンズをよりコンパクトにできるというメリットもありますね。

もう一つの2文字がADです。A=Abnormal、D=Dispertionの略で、「異常分散」という意味になります。
「異常」というと少し悪いイメージを抱きがちですが、このADガラスによって、長焦点側・至近域で問題になる、色収差によるシャープネスの悪化が低減され、高画質化がもたらされるというメリットがあります。

非球面レンズのパイオニア、タムロン

非球面のすごさ

さて、タムロンのレンズに表記のあるアルファベットの中で最も「長い」のがこのAsphericalです。「Aspherical」は英語で、「非球面の」という意味があり、これはそのままそのレンズが非球面レンズを採用しているということを意味します。

たまに勘違いされている方がいらっしゃるのですが、非球面レンズとは球面でない=平面なレンズのことではなく、上の図のように平面でも球面でもない曲面を屈折面に含むレンズのことです。カメラのレンズには円筒面、トーリック面、対称非球面、非対称非球面等が「非球面レンズ」として採用されます。

そして簡単に言えばこの非球面レンズは、レンズの中央から入ってくる光と、レンズの端から入ってくる光の焦点がずれてしまう「収差」が出ないように、カーブを計算して作られたレンズなのです。

これによって写真の高画質化、歪曲収差の補正、そして、レンズ枚数の削減によるコンパクト化・軽量化が実現できるのです。

今では非球面レンズは多くの機種に採用され、特別に珍しい硝材でもなくなりました。

しかし、今から20年以上も前、「SP AF 35-105mm F/2.8 Aspherical(モデル名 65D)」が発売された当時においては、非球面レンズはまさに画期的な技術でした。

その技術が認められた「SP AF 35-105mm F/2.8 Aspherical(モデル名 65D)」はヨーロピアン・レンズ・オブ・ザ・イヤーなどの賞を獲得しています。

非球面レンズの黎明期から、非球面レンズについてタムロンは、すでに多くのノウハウを蓄積していた「非球面レンズのパイオニア」だったのです。

画期的なズームレンズのインターナルフォーカス化

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そろそろタムロンのレンズに書かれたアルファベットについてのお話も最後に近づいてきました。次にご説明するのはIFです。I=Internal、F=Focusの略で、これはレンズの駆動方式を表すアルファベットです。

フォーカシングのためのレンズの駆動方式には3つの方式があります。

主に単焦点レンズで採用される「全体繰り出し方式」、大口径の望遠系レンズに使用されてきた「インターナルフォーカス(IF)方式」、そして「前玉繰り出し(前玉フォーカス)方式」です。

従来、ズームレンズのフォーカシングとして一般に採用されていたのは前玉フォーカス方式でした。構造が比較的シンプルで、ナチュラルな光学特性が得られるからです。

ズームレンズにおける長年の課題が最短撮影距離の短縮化でした。タムロンは、この問題をクリアするために、IF方式の採用という当時としては「常識破り」の方法を採りました。

IF方式というのは、前玉フォーカスが一番前のレンズ群を繰り出すのに対し、レンズ内の一部のレンズ群を移動させることによってフォーカスを合わせる方式です。

当時は、広角から望遠までをカバーするズームレンズをIF方式で構成するとレンズの基本構成が変わってしまうため、撮影倍率が下がったり、ボケ味が不自然になったりといった問題が発生するとされていました。

高倍率ズームとIFは相容れない関係というのが常識とされていた中で、撮影距離と倍率の兼ね合いをはかりながら、タムロンはコンパクトなレンズ内でIFを実現させることを成功させました。

非球面レンズだけでなく、軽く、そして小さなフォーカシング系を作るメーカーとしてもパイオニアと呼べるメーカーだったんですね。

マクロレンズを意味する「MACRO」

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最後に書かれているアルファベットがこのMACROで、そのレンズがマクロレンズであることを意味します。これは他社とも変わりませんね。

タムロンのマクロレンズとして名高いのが、1979年に発売された、初代90mm F2.5 MACROレンズではないでしょうか。

別名「ポートレートマクロ」と呼ばれ、マクロレンズの主目的が文献複写と思われていた当時、「人物撮影に使えるような中望遠レンズが欲しい。そして、最短撮影距離が短いと、もっといい」というカメラマンたちの要望にこたえる形でタムロンが送り出したこの中望遠マクロは、発想的にも実に斬新なものでした。

このマクロレンズは、まずは使い勝手で好評を博したそうですが、そのやわらかでシャープな描写の美しさに魅了された自然写真のカメラマン達によって、「中望遠マクロだったらタムロン」といわれるまでになりました。

さいごに

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いかがだったでしょうか?
タムロンは他社と比べても、レンズに書かれたアルファべットが断トツに多いことが分かりますね。

これには安価なサードパーティレンズでありながら、そのレンズには純正メーカーに負けない驚きの機能や、様々な工夫、すばらしい仕組みの数々が秘められていることの何よりの証拠でもあります。

また、タムロンのレンズには一つ一つアルファベット+数字の「名前」のようなものが付けられています。

これは単なる識別ナンバーとしてではなく、ライカがレンズに名称を付けたり、コンタックスがそのレンズ構成に個別の呼称を付けていることに通じるものがあると私は感じます。

レンズを研究しつくし、より良いレンズを作るため、いわば「レンズ愛」のようなものがタムロンから感じられるのは私だけでしょうか?

サードパーティーレンズだからと言って一度もタムロンのレンズを使ったことが無い、という方にはぜひ、一度レンズを研究し尽くしてきたこのメーカーの品物を手にとってみて欲しいと思います。

ここまで、ニコン、キヤノン、タムロンの3社の交換レンズについて詳しくお話をしてきました。次回はシグマの説明をする予定です。

この記事を読んでくださっている読者の皆様の中で、「次はこのメーカーのレンズについての記事が読んでみたい!」というご希望がございましたら、ぜひお気軽にご連絡ください。

皆様からのリクエストを心待ちにしています。

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